長期旅行の前に必要な公的手続きをまとめてみました。
以下に掲載された情報は2002年2月時点のものです。
運転免許証については、2003年6月に改正された新しい道交法に則しています。
最新の情報、手続きの詳細は、
各公的機関や自治体にてご確認ください。
長期で海外に出国する際、公的に「旅行」とされるか「滞在」とされるかの境目は、
自治体にもよりますが、概ね「1年を越えるかどうか」が判断基準だそうです。
我が家の場合、当初から1年を越える旅行期間を予定していましたので、
問題なく「滞在」と判断され、住民票を抜いて出国することを勧められました。
住民票を抜くということはつまり、国内に住所がないということを意味するので、
それなりのメリット、デメリットがあります(下表参照)。
とはいえ、特に理由がない限り、抜いてった方がなにかと安上がりではあります。
住民票を抜いて出国すると | 住民票を抜かずに出国すると | |
国民健康保険 | 保険料の支払いは不要。 国保の使用はできない。 当然、海外療養制度も適用外。 |
保険料の支払いは必要。 国保の使用はもちろん可。 海外療養制度も適用される。 |
国民年金 | 年金の支払いは不要。 カラ期間として計算される。 |
年金の支払いは必要。 ただし、免除制度あり。 |
住民税 | 1月1日に住民登録のない場合、 該当年度分の支払いは不要。 |
原則的には支払わなきゃダメ。 |
その他 | 各種証明書等の発行も不可。 | 日本居住時と同様。 |
平成13年より「海外療養費」という新しい制度が導入され、
海外に滞在している間の医療費も、国保の給付対象として扱われるようになりました。
他の保険ではカバーされない海外での歯科治療に関しても、保険の対象となります。
ただし、国内での国保使用時と同様、全額は補償されませんので、残りの額は自己負担となります。 また現地では一旦、医療費の全額を立て替える必要があります。
住民票を抜いて出国すれば、国民健康保険料は支払わずに済みます。
この場合は国保を使用する権利も喪失するので、海外療養費の補償も受けられません。
海外滞在中(住民票を抜いて出国した場合)の国民年金は、任意加入扱いとなります。
年金なんか払ってられっか!という方は、払わなくても大丈夫。
ただし、海外に滞在した間は「カラ期間」とされ、加入期間としては認められますが、
年金額には算入されないため、将来、受給できる年金の額が下がることになります。
また、住民票を日本に置いたまま出国する場合にも、
「免除制度」が適用されれば、保険料の支払いが免除されますし、
平成14年より導入された「半額免除制度」を利用すれば、安く上がります。
免除された期間の年金は、その後10年間以内なら追納できます。
免除を受けたい場合は、自治体で指定された方法で申請し、審査を待ちます。
審査官による面接がある場合もあります。
審査を通過するには、いかに切迫した経済状況かをアピールしましょう。
「仕事を辞めて無収入です」と涙ながらに話せば、(事実なら)まず大丈夫だと思います。
間違っても「長期の海外旅行に行きます」などとほざいてはいけません。
審査官に「なんてリッチなんだ!気に食わん!却下!」と思われるでしょう。
生命保険に加入されている方も要注意。
「生命保険料が払えて年金払えないのかよ!却下!」と、お役人さんが気分を害します。
(しかしながら虚偽の申告はまずいと思うので、ご自身の判断でどうぞ。)
旅行中も年金を納めたい方は、支払方法の指定(口座振替)をお忘れなく。
海外滞在中に運転免許証が失効してしまう場合、
以下の二つの方法で更新(新規発行)手続きができます。
海外で車を運転される方は、 国際運転免許証も取得しておきましょう。
取得の手続きは簡単です。海外からの更新も、面倒な手続きではありますが可能です。
ただし国際免許証は、国内での運転免許証が失効すると同時に効力を失うので、
国内の免許もちゃんと更新しておかなければいけません。
国際免許証が有効なのは、「ジュネーブ条約」とやらに加盟している国だけですが、
免許証の内容が英語で翻訳されているので、非加盟国でもなにかと役には立ちます。
逆に「ジュネーブ条約」に加盟していても、国際免許証なしでレンタカーできる国もありますし、
日本の免許証がそのまま通用する国も多いので、両方持参するのがベストでしょう。
国際免許証は、各都道府県の運転免許試験場(免許センター)にて、
以下の書類をもって、その場で発行されます。
国際免許証の有効期限は発行日から一年間です。
前述したように、国際運転免許証の有効期限はたったの一年です。
旅先で国際免許の有効期限が切れてしまった場合、近しい親族等によってのみ、
各都道府県の運転免許試験場(免許センター)にて、
以下の書類をもって、更新の代理申請ができます。
※代理人を通じて更新する場合も、申請者本人の運転免許証が必要です。
納税の手続きは、税金の種類によってそれぞれ異なります。
所得税は、前年度の所得に応じて国から課税される税金(=国税)です。
前年度(1月〜12月分)の所得を翌年の3月中旬までに確定申告し、
相応の所得税額を、一括または分割で国に収めます。
お勤めの方(以下「サラリーマンさん」と表記)の場合、通常は会社が申告してくれるわけですが、
長期の海外旅行なんかする時はたいてい中途退職されるでしょうから、
自分の支払う(または還付される)税金は、自分で確定申告しなければいけません。
確定申告の手続きは面倒ですが、内容はそう難しくありません。
税理士さんに頼むと高くつくので、旅行資金捻出の為にも、この際トライしてみましょう。
また、下記の手続きをふまずにすでに出国しちゃった人も、帰国後10年以内なら追納できます。
前年度分の所得税を申告 | |
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三月中旬までに確定申告(または還付申告)を行い、 納税(還付金の受け取り)をします。 会社が手続きしてくれているはずですので、この申告は必要ありません。 |
本年度分の所得税を申告 | |
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※本年度の所得が確定済みな人は、
長期出国を証明するものがあれば、出国前に本年度分の申告を行えます。 業務形態によって申告用紙が異なったり、収支内訳書が必要になったりしますので、 税務署の窓口で確認してください。 ※本年度の所得が未確定な人は、
出国前に納税代理人の申告を行い、 翌年の申告期間中に納税代理人を通じて確定申告、納税します。 納税代理人は家族でOK。もちろん税理士でも可。 納税代理人の申請は、所定の用紙にて行います。 |
※本年度の所得が確定しているとは、出国後、なんら収入のない状態を指します。
逆に、不動産収入や年金、配当等によるなんらかの所得が考えられる人は、
たとえその額が決まっていても、所得が未確定ということになります。
個人住民税は、前年度の所得に応じて自治体から課税される税金(=地方税)です。
その年の1月1日に居住している(住民票を置いている)市町村から徴収されます。
つまり、1月1日に出国(=住民票を抜いて出国)すると、その年の個人住民税は課税され、
その前日の12月31日に出国すれば、翌年分の個人住民税はまるっきり払わずに済みます。
年末年始期の出発を予定されている方は、賢くやりましょう。
(1年未満の海外滞在の場合はこの限りではありません。)
住民税額は所得税の確定申告によって自動的に算出されるので、
確定申告さえしていれば特別な申告は必要ありません。
ただし支払い方法はきちんと指定しておきましょう。
海外滞在中の住民税の支払い方法としては、
の2つが挙げられます。
どちらも市町村の役所で簡単に手続きできます。「納税代理人」は家族でOK。
また、短期の予定で出国したものの、帰国が延びて長期間を海外で過ごした場合、
後日、市町村に申告することで、住民税が還付される場合もあるそうです!
該当する方はトライしてみたらいかが?
固定資産税は、その年の1月1日に固定資産(土地、家屋等)を所有している場合、
その資産の所在地の市町村から徴収される税金(=地方税)で、
所有者が海外転出中であっても課税されます!!!
出国前に、連絡先として「納税代理人」を必ず申請し、
必要なら口座振替の手続きも同時に行いましょう。
どちらも窓口で、また郵送でも簡単に手続きできます。
自宅以外の固定資産をお持ちの場合は、住民票のある市町村(居住する市町村)だけでなく、
固定資産の所在する市町村それぞれに申請するよう、注意して下さい。