保険に入ろう



長期旅行の間、海外旅行傷害保険に入るべきかどうか?
これはここ最近の旅人達の定番の悩みです。
前世紀まで長期旅行の旅行保険は年間で3万円程度だったそうですが、今世紀に入って保険料うなぎ登り〜。 現在はなんと年間10万円前後もかかるようになりました。
つまり二年で20万円、三年で夫婦旅だと60万円、ちなみに今泊まってる宿が一泊300円。
これでは誰しも悩むはずです。

個人的には海外旅行傷害保険への加入を強くお勧めしますが、実際は、保険に入らずに長旅をしている人にもいっぱい出会いました。 それで何の問題もなく旅を終えた友人も多々いますし、保険に入らずケチって病院にも行かず命を落とした旅人の話も聞きます。
保険を掛けておくかどうかの判断はあなた次第。 海外旅行傷害保険とはなにか、旅行中のトラブルに他の保険は使えないのか、まずは知っておきましょう。

海外旅行傷害保険

いきなりですが、風邪や下痢が心配なだけなら海外旅行傷害保険に入る必要はありましえん。
知らない土地で医者にかかるなんてただでさえ面倒なので、軽い風邪や下痢くらいでは旅人はあまり病院に行きません。 仮に医者にかかっても、途上国の、地元の人々が通う医院や国立病院では、日本とは比べ物にならないほど安い価格で治療を行ってくれます。 一度の診察が100円程度ということもあります。
現地在住の外国人が通うようなちょっといい私立病院でも、経験上、一度の診察に5,000円程度が相場。 わざわざ高い保険料を払っておくほどの額でもありません。
また、医療費だけなら国民健康保険(海外療養費)でも一部補償されます()。

しかしいざ大病を患ったり、大怪我を負った時は、前述のような病院では対処できなくなります。 高設備の医療機関は先進国にしかありませんから、医療費は当然高くつきますし、 手術や緊急の処置が必要ともなると、多額の出費を覚悟しなければなりません。
このような高額医療費も、国民健康保険(海外療養費)生命保険の特約 で一部補償されます()が、現地では治療費の全額を立て替える必要があります。
 補償を受けるには国保または生保に加入している必要があります。)

その点、海外旅行傷害保険に加入していれば、 提携先の病院ならキャッシュレスで治療が受けられますし、 動けない本人の代わりに緊急の手続きを代行してくれたりもします。

そして海外旅行傷害保険の最大のメリットは、

  • 誰かの身体や物品に損害を与え、賠償が必要な時
  • 捜索や救助、搬送など、生きるために医療費以外の出費がかかる時
  • 家族などを現地に呼び寄せる必要がある時
  • 携行品が破損したり、盗難などの被害に遭った時


  • など、病気以外にも、海外旅行中に起こりうるあらゆるトラブルに対応しているということです。

    サイト内リンク  保険に入ろう/補償内容の比較早見表


    保険会社と代理店

    長期旅行用の保険を扱っている会社は限られていますが、
    その中で旅人達が比較的よく利用しているのは、以下の保険会社。

  • AIU保険
    外資系の老舗。 長期間の保険が比較的かけやすい。アフターサービスが良いとの評判です。
  • ジェイアイ傷害火災
    長期間の保険が比較的かけやすいので、ジェイアイにお世話になってる旅人は多い。私達も長年お世話になってます。 ジェイアイはJTB出資の保険会社ですが、JTB以外の窓口で申し込むようにしましょう。
  • 損害保険ジャパン
    保険料が安いんだそうです。
  • 東京海上日動火災
    旅行者の間では、審査が厳しい、払い渋りが多いなど、あまりいいことは言われていません。 ちなみに私の父はかつてここの社員でしたが、個人的にはあまりお勧めしません。
  • どこの保険会社も数パターンの基本プランを持っているので、まずは比較検討してみましょう。 当然、安いプランほど補償額が小さくなります。
    注目するべき点は、疾病および傷害治療費の限度額、一人旅なら救援者費用、パソコンや高額のカメラを持って行かれる方は携行品の補償限度額も要チェックです。

    必要な補償や目的がはっきりしている人には、バラ掛け(フリープラン)をお勧めします。 バラ掛けとはつまり、保険のオーダーメイド。好きなように組み合わせて自分に合ったプランを作ることができるので、 無駄な出費が省けます(保険会社によってはバラ掛けを扱っていないこともあります)。

    保険会社とだいたいのプランに目星をつけたら、希望の保険を扱う代理店を探しましょう。
    最近はネット上で直接加入できる保険も多くなっていますが、 特に一年以上の旅行を予定されている方は、融通のきく代理店(担当者)を見つけておくことがとても大切です。
    旅行が長期間に及ぶ場合、保険の延長等が大きな問題となってきますが、 最長で何年までの保険を受けるか、海外からの保険内容変更や期間延長をどの程度まで認めるかは、代理店(担当者)の裁量によるところが大きいようです。

    建前上は駄目だけど代理店がなんとかしてくれた・・・・・ということは実際よくあります。 話を聞く耳と豊富な経験のある、あまり大手ではない代理店が狙いどころです。


    海外旅行傷害保険の場合、海外からの新規加入は原則的には認められていません。
    旅行中に「やっぱ保険に入りたい!」「保険が切れちゃったから入りなおしたい!」と思いついても、 建前上は日本の旅行保険には加入できないということです。

    また保険の期間延長についても、それまでの保険請求実績によっては必ずしも認められるとは限りませんので、可能ならば、あらかじめ長めの保険に入っておいた方がいいと思います。

    なお、長期の海外旅行傷害保険は、契約期間内の途中解約が可能です。その場合、掛け金は日割りで返金されます(各保険会社・代理店に確認してください)。

    関連リンク  海外旅行保険節約研究所  (←このサイト素晴らしいです。必見!!)

    関連リンク  留学保険&海外旅行保険比較サイト i保険 



    クレジットカード付帯保険

    三ヶ月以内に帰国される予定の方、三ヶ月未満の短いスパンで旅行を繰り返す予定の方(失業保険の受給者など)は、 まずはお手持ちのクレジットカードのサービス内容を確かめてみましょう。
    種類や発行元にもよりますが、多くのクレジットカードには、最長で90日間の海外旅行損害保険が付帯されています。
    カードを持っているだけで効力を発揮するものから、カードを使って航空券やホテルの予約をした場合のみ保険として機能するものまで様々ですが、 その内容次第では、高額の海外旅行保険にわざわざ加入せずに済みます。

    クレジットカード付帯保険は損害保険の一種ですので、賠償、捜索・救助・搬送代、救援者費用、携行品の損害など医療費以外の補償も得られます!
    なんせ無料ですから全体的に限度額は低めですが、クレジットカードを何種類か持っている方なら複数の補償が合算されます(傷害死亡・後遺障害を除く)。
    ただしクレジットカード付帯の海外旅行傷害保険では、疾病による死亡・後遺傷害は補償されない場合が多いので、 葬式代くらいは自分で・・・・と思ってる方は注意して下さい。

    ここまで読んで、それなら最初の90日は付帯保険で、残りの期間は他の海外旅行損害保険に加入すればいいじゃん!と思われた方、残念ながらこれはできません。 海外旅行傷害保険は、原則的に出国前に加入しなければならないものだからです。

    クレジットカードをお持ちでない方は、旅行前(仕事を辞める前)に是非作っておきましょう!!
    海外では、クレジットカードが身分保証の役割を果たします。 レンタカーや高級ホテルなど、クレジットカードでの支払いが要求されることもありますし、 宿や航空券をネットで予約する際も、クレジットカードは必須です。

    関連リンク  海外旅行保険節約研究所/クレジットカード海外旅行保険比較表

    サイト内リンク  お金を用意しよう/クレジットカード


    国民健康保険(海外療養費)

    平成13年に導入された「海外療養費」制度により、国民健康保険に加入していれば、海外で受けた医療費も補償の対象となるようになりました。
    日本に住民票を置いたまま出国された(国保の保険料を払い続けている)方、 親の扶養家族となられている学生さんなどには、有意義な制度です。
    他の保険ではカバーされない海外での歯科治療に関しても、補償の対象となります!!
     一部の海外旅行傷害保険には歯科治療をカバーする特約がついていることがあります。)

    ただし、医療費以外の、賠償、捜索・救助・搬送代、救援者費用、携行品の損害などなどなどは一切補償されませんので注意して下さい。

    海外療養費は国民健康保険の一部ですので、国内で国保を使用する際と同様、自己負担分の三割は補償外となります。 また、補償額は厚生労働省によって定められた標準額を基に算出され、実費との差額も自己負担になります(下図参照)。

    実際にかかった医療費が標準額より安かった場合



    実際にかかった医療費が標準額より高かった場合


    現地での医療費は全額立替えとなります。
    キャッシュレスで治療を受けられるようなサービスはありませんので、 帰国後に各自で、それぞれの自治体に保険請求を行います。


    海外療養費支給申請の手続き

    以下の書類をもって、市区町村の役所の窓口で申請します。
    1. 療養費支給申請書(その場で記入すれば良し)
    2. 国民健康保険証
    3. 診療内容明細書 [ Attending Physician's Statement ]
    4. 領袖明細書 [ Itemized Receipt ]
    5. 上記3、4の日本語訳(翻訳者の氏名・住所も記載すること)
    6. 銀行口座控え(口座番号のわかるもの)
    7. 印鑑
    3、4は現地の医療機関で発行してもらいます。
    (実際に申請手続きされた方のなかには、5の日本語訳を要求されなかった例もあります。)

    サイト内リンク  公的手続き諸々/国民健康保険


    生命保険の特約

    多くの生命保険には疾病や傷害に対する特約がついています。保険会社によってはこの特約が、 海外滞在時にも、日本にいるのと同じ条件で適用される場合があります。

    ただし生保の特約は、医療費の全額が補償されるものではありません。 賠償、捜索・救助・搬送代、救援者費用、携行品の損害などの補償も当然ありません。

    海外での補償は、保険会社のサービスを判断するひとつのモノサシです。 すでに生命保険に加入し、月々の保険料を納めている方は、ご自分の保険の保証内容を確認し直してみて下さい。
    これから生命保険に加入する方は、加入前にしっかり確認しておきましょう。


    補償内容の比較早見表

    この表は一般的な保険内容に基づいて作成してあります。 契約されている保険によっては補償の内容が異なりますので、ご自分の保険契約を必ずご確認ください。

    補償内容の比較早見表